「現代経済学の直観的方法」
長沼伸一郎著
を読んでいる
数学、物理、生物、歴史などの視点を入れ
経済を説明する珍しい本
極力、経済データや需要供給曲線など
経済学の手法が省かれ、他の学問との
アナロジーで解説するので、
珍しい知見を得ることができる。
ボリュームがある本なので、
目次をぶっとばし、面白い視点だけ
何回かに分けて抜粋していこうと思う。
★物理学とのアナロジー
エントロピーの不可逆性。
万物は、自然のままにほっておくと、常に
秩序の保たれている状態から
無秩序な状態の方向へ変化する。
例えば、
一度気体が拡散すると、勝手には元に戻らない。
熱湯は自然に常温に冷めるが、勝手に熱湯に戻ることはない。
コーヒーミルクが、勝手にコーヒーとミルクに分かれない。
これを経済に当てはめると、
例えば
便利を知った消費者が、勝手に不便さを受け入れることはない。
経済競争の勝者は富み続け、全体の富を偏らせるが、勝手に富が再分配されることはない。
などとなる。
★私の感想
アナロジーだけで論を進めるのは
無理があると、最初はトンデモ本なのかと
思ったが、読み進めると思い当たるフシが
数多くでてくる。
エントロピーの着想は面白い。
十分に大きい母集団が帰結する先は
自然界のそれと似てくる。
物質社会より金融が何倍も大きくなるのも
実体ビジネスの創意工夫を避け
安易な数字遊びで楽に儲けたい欲望
の末なのかもしれない。