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植田和夫著、「ゼロ金利との闘い 日銀の政策を総括する」を読んで

植田和夫総裁の昔の著書です。
注目部分について、下記は抜粋、要約してみました。

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ゼロ金利政策では、日本銀行(日銀)が将来の金融政策についての予想をコントロールするために、低金利の約束をしました。これにより、将来の短期金利の予想値が通常よりも低くなり、それが現在の中長期金利に影響を与えました。

具体的には、日銀が将来の金融政策の方向性や目標について明確な声明を出すことで、市場や企業が将来の金利の動きを予測しやすくなりました。こうすることで、長い期間にわたって金利が低い水準に維持されました。このような約束は、市場の予測を安定させ、経済活動を促進する効果がありました。

この金融政策の効果により、短期金融市場における銀行の資金調達コストが下がりました。日銀が将来の金融政策についてコミットメントをすることで、銀行や市場参加者が将来の金利の動きを予測しやすくなったためです。予測が安定することで、銀行のリスク要素や不確実性が減少し、結果としてリスク・プレミアムが低下しました。

また、この金融政策は金融システム全体の安定にも貢献しました。通常、金融システムの安定は政府の責任ですが、金融政策がリスク・プレミアムを下げることで、金融機関や市場の安定が促進されました。これは日本経済全体を支える効果がありました。

しかし、この金融政策には2つの大きな弱点があります。

1つ目の弱点は、この政策が効果を発揮するためには、経済が良くなる兆しが必要だということです。具体的には、経済が活気づいて物価が上昇し、デフレ(物価下落)の状態から抜け出せることが重要です。ただし、その過程には時間がかかる場合もあり、具体的な期間を予測することは難しいです。

2つ目の弱点は、過去に行った約束を守るために、将来においても緩和政策を続けざるを得ないという点です。例えば、中央銀行が将来的に金利を低く維持することを約束した場合、その約束を守るためには緩和政策を続ける必要があります。しかし、経済状況が変化し、インフレ(物価上昇)が上昇している場合でも、中央銀行は約束を破ることができず、緩和政策を続けることになるかもしれません。このような状況では、過度なインフレを招く可能性があり、中央銀行は慎重に判断する必要があります。

中央銀行は自らの信用を維持するか、インフレを抑制するために信用を損なうかという難しい選択を迫られます。後者を選ぶと、この種の政策を再度利用することが難しくなる可能性があります。

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雑感、感想

2005年の本ですが、今の状況は既に想定済みの状況なのでしょう。

現在、植田日銀は市場からの期待に反して金利を上げようとしています。これにより、予想と異なる政策を批判するアナリストやマスコミの声も聞かれます。今後は金融政策が逆転することになります。つまり、リスクプレミアムが上昇し、銀行の資金調達コストが増加し、それが市場金利に影響を与えることになります。これが通常の金融政策に戻るということなのでしょう。