芥川賞の受賞作品を3冊読んだ。
正直、Audibleがなければ、読めなかっただろうと思う。
エンターテイメント性が高い直木賞の作品と比べ、
純文学である芥川賞の受賞作品は、ハッキリ言って読みにくい。
これが3冊ほど読んだ感想である。
「むらさきのスカートの女」
「パーク・ライフ」
「コンビニ人間」
どれも共通して、読み進めるうちに何を読まされているんだろう
という気がしてくる。つまり、我々が普段読んでいる文章というものは、
おおむね起承転結があって、書き手には、正しく読み手を結論に導くルール、
または責任があると思われる。しかし、これらの小説には、読み手が誘導される
結論はない。奇妙で、時には理不尽不条理な結末でさえある。
ただ、何かの芸術作品を見たような、独特のざらざらとした後味が残る。
たとえるなら、濃い赤ワインを飲んで、ジュースのように甘くない一方、渋くて複雑な味わいがするといったような。あるいは、良いスコッチの風味は、高い金出して理不尽にも、非常に飲みにくいイソジンみたいな香りがする、といったような。子供に話しても、何を言っているのか全く分からないと言われそうな感覚である。
文学も芸術の一種であり、その簡単には知覚できない、それでいて人間の原風景に組み込まれた何かを、独特なメタファーを通して見せるという手法は、それはそれで常套手段なのかもしれない。